外資系企業に存在するパラレルワールドの実態。ちゃんと理解しないと税効果会計間違いますよ。
外資系企業の日本法人には、この絵のように3つ(場合によっては4つ)のパラレルワールドが存在します。ミステリーでもSFでもなく、実際の話し。
すみません、もったいぶらずに種明かしをします。
3つのパラレルワールドとは以下の3つ(場合によあっては4つ)の異なるルールに基づくそれぞれの財務数値のことです。今回は分かりやすいようにP&L(損益計算書)のみにフォーカスして話をします。
- US GAAP(米国会計基準)/IFRS(国際会計基準)
- JAPAN GAAP(日本の会計基準)
- JAPAN TAX(日本の税法)
まず外資系企業は通常親会社と同様の会計ルールに基づいたP&Lで業績管理をします。会計ルールが違うと正しい業績管理ができません。
次に、外資系企業の日本法人であれば会社法監査において日本の会計基準に基づいたP&Lの作成が求められます。
最後に外資系企業の日本法人は日本で税務申告をする義務がありますから、税金計算のために日本の税法に基づいたP&L(損金、益金)算出をします。
では、これらパラレルワールドの数値は全く別物なのか?という質問が聞こえて来そうですが、そうではありません。昨今世界の会計基準や税法は歩み寄りを行っていますので大体は同じです。ですが、やはり歩み寄れない部分はありますのでそれがそれぞれのGAP(違い)となって現れます。
また、このGAPは次のように分類されます。
- 損益の認識の時点が異なるもの。これを一時差異と呼びます。上の時計の絵のイメージです。
- 未来永劫認識の仕方が違うもの。片方のルールでは認識して、もう一方のルールでは認識しないもの。これを永久差異と呼びます。
今回は具体的なGAP項目に関しては多岐にわたるため割愛します。
外資系企業の経理財務部門はこの3つ(場合によっては4つ)のパラレルワールドのGAPを正しく理解し、日々仕分け業務をしたり、経営陣や営業に数値報告を行う必用があります。ですが、私が思うにこの3つのGAPを正しく理解している経理財務部員はごく一部でしょう。特に税務申告業務をやっているのは通常専任の部隊ですから日本の税法を正しく理解しているのは恐らくその部隊のみ。
今後経理財務部門がFinancial planning & Analysis(FP&A)として将来数値を算出し提供する際には、それぞれのパラレルワールドのGAPを理解していないと正しい数値計算はできません。また、US GAAPやJAPAN GAAPのそれぞれ損益計算において、税法との差異が分かっていないと正しい税金費用の計算(税効果会計)ができません。場合によっては多大に将来数値の計算を間違ってしまい、経営陣の判断に影響を与える場合もありますのでご注意!
JAPAN GAAPとJAPAN TAX(損金、益金)のつながりを理解するのにはこちらが最適。会計視点から簡単に税法の損金、益金のしくみが理解できます。
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